自転車ひとり旅〜風に誘われ、趣くままに〜

自転車旅で出逢う風景や人々の記録です。同好の士とのつながりや交流のきっかけになるといいかなと思っています。

2020年1月5日、大善寺(久留米)

 ロードバイクに乗り始めたのは、2017年3月が最初。下関から角島経由で長門市までの75kmだ。しかし、その年は、5月から9月まで5ヶ月お休みになった。左足の脛骨の外側を痛めたためだ。長距離を走れるまで6ヶ月がかかった。2018年は、9月から、右肩の間関節周囲炎を発症してしまった。右手が上がらない。この時も2ヶ月、お休みになり、長距離を走れるまで4ヶ月かかった。つまり、まともに1年走り続けたことがない。そして、2019年も、11月下旬から1ヶ月半お休みにした。腰痛と左大腿部の外側の痛みのためだ。やれやれ、毎年、筋肉を痛めている。やはり、ストレッチ不足なのかもしれない。それとも無理のし過ぎか。

 ということで、1ヶ月半ぶりに、そして、今年の初乗りは短距離で近場。目的地は、久留米市善導寺、北野ぽっかぽかの湯、あちこち傷んだ筋肉の湯治。筑後川サイクリングロードは何度も通った道だ。

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 冬の美しい筑後川を眺めながら、あっという間に、目的地到着。久しぶりに来た。いい温泉だ。湯の質がどうのこうのではなく、適度に古びていて、でも清潔、そして人も少ない、ゆったりできる。寝風呂とか、このまま寝てしまいそうでこわい。食堂もゆっくりゆったり、注文した親子丼は、おばあちゃんの味付けのような甘さ。

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 帰りは、せっかくだから、大善寺のお参りに行こう。大善寺は何度も通るが、大善寺そのものに行くのは初めて。

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 立派な本堂、楠の木、そして、六地蔵。このお寺を開いた上人が、盗人を6人改心させたとか。だから、善の道に導いたから、善導寺?ありがたいお話。今年も、善き行いをせねば、と祈るのでした。

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 帰りは、自転車ではなく、久大本線輪行。最初は無理をしないのが、リハビリのコツ。さあ、今年こそは、1年間、乗り続けたい。

2019年11月16日、滋賀県、中山道を行く

  11月17日に愛知県に用事ができた。せっかくなので、1泊2日の自転車旅を用事に組み込もう。福岡県と愛知県の間のどこを行くか。そうだ、中山道を起点から出発しよう。中山道踏破に向けて、群馬県安中宿から長野県長久保宿まで行ったのは1年半前だ。それ以来、そのままになっていたので、今度は草津宿から攻めて行こう。せっかくなので、街道から離れるけれど、近江八幡市の町並みや彦根城も見て、「日本ボロ宿紀行」で紹介された長浜の旅館に泊まる、という計画にした。

 久留米発の一番列車に乗り込み、草津駅に着いたのは9時50分。今回も遅めのスタート。グーグルマップで旧中山道をバッチリ調べてきたので、あまり迷わない。車は多いけれども、古い家並みが続く。スピードは出ないけれども、街道沿いを行くのはタイムスリップした感じで楽しい。

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 守山宿から、一旦、中山道をはずれて近江八幡市に向かう。街道でない県道は、ありふれた風景でだんだん飽いてくる。我慢して進むと、やがて近江八幡市の中心街、古い街並みに着いた。おおー、なかなかの風情だと思いながら、観光客の多いあたりを目指すと、「八幡堀」という観光名所に着いた。まるで映画のセットだ。後から調べると、多くの映画のロケ地になっている。人混みの多いところを避けて、西の湖に向かう。いかにも藤沢周平原作の映画で、脱藩した武士が流浪の旅に出る時の風景である。

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  西の湖を離れて街道に戻る。このあたりから、なぜか腹痛。昼食時に少しゆっくりするが、痛みはおさまらない。この調子では、彦根城観光は無理だ。諦めて、早く宿に着いて休もう。いや、その前に、峠越えがある。腹痛を抱えながら、峠越え可能だろうか?ますます腹痛が広がっていく。どうする?リタイア?胃潰瘍?ウイルス性胃腸炎?色々考えながら、街道を離れて国道沿いのコンビニのトイレに。ああー、治った。単純な問題だった。よし、これなら、峠を越えられる。中山道の高宮宿、鳥居本宿を経て、いよいよ摺針峠。急な登りで息が上がる。昔の人は、この峠を越えて行ったんだなと思いながら、峠の向こうの山また山の風景を眺める。

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 ここまで、だいぶ時間を費やしてしまった。夕暮れの時間が迫ってくる。彦根城を諦めた代わりに、紅葉の名所をネットで検索すると、三島池というのが出てきた。ちょうど、長浜への途中にある。ここを目指そう。できれば、夕日に照らされた紅葉を見たい。番場宿、東海道本線醒井駅を経て、国道を左折する。どんどん飛ばして、やっと三島池に着いた。夕日に映える鮮やかな紅葉、伊吹山を映した池。

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 写真を撮っていたらあっという間に日が暮れた。まだ、4時台なのに、この辺りは日没が早いのだ。次を急ごう。三島池からから真西に向かうとトンネル。抜けた途端に夕日が眩しい。これは琵琶湖の日没は絶景だろう、全速力で西へ西へと向かう。間に合うかどうか。湖岸にやっと着いた時は日没直後だった。が、琵琶湖の黄昏は美しかった。 

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 夜は、お楽しみの、三谷旅館。長浜の伝統的建築物地区の中にある、築100年の旅館。この値段で、趣のある宿に泊まれるのはとても幸せである。夕ご飯には、ご主人と奥さんが代わり番こで、話し相手になってくださる。長浜のこと、曳山の由来、子ども歌舞伎、中山道の穴場、琵琶湖の鮎など、教えていただいた。あまり調べずに来たけれども、長浜ってとても歴史的な町だったんだ。琵琶湖に鮎がいるとは知らなかったが、10センチ以上大きくならないとは。色々と面白い話がいっぱいだ。いい人たちだなぁ。こうして、琵琶湖北岸の夜が更けていく。

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2019年10月5日、とびしま海道、尾道

 今回の目的地はとびしま海道、そして、3年前に残してしまったしまなみ海道の後半部分。前日泊ができなかったので、久留米駅を早朝に出て、呉線の広駅から出発したのは午前10時。今日は大阪泊なので、夕方に尾道に着けば、それでいい。遅い出発でも余裕だ。

 広駅からしばらく車の多い道を行き、安芸灘大橋を渡って下蒲刈島に渡る。海をまたぐ橋はやはり怖い。ここは歩道をゆっくりと行くしかない。以前、しまなみ街道の話を自転車旅で出会った人と話した時に、とびしま海道も静かでいいですよと、教えていただいた。確かに、ここから先の、上蒲刈島、豊島、大崎下島と車も人も少なく、快適な道行きだった。自転車もほとんど会わない。天気は快晴で、海も空も青い。瀬戸内海の穏やか海原を眺めながらゆっくりと行く。

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 今回もあまり下調べをせずに来たのだが、御手洗という地名だけは記憶に残っていて
寄ってみることにした。迂闊だった。一歩、入り込んで見た風景は、映画のセットのようだ。今まで人気の少ない島々の奥の方に、こんな昭和の町並みが残っているなんて、思いもよらなかった。海運で江戸時代から栄えた町が、その後の陸路の発展で取り残されたからこそ、この町並みが残ったのであれば、皮肉なことである。しかし、観光客は少ない。瀬戸内海の古い町並み、倉敷、尾道鞆の浦、竹原といったコースから外れているので、ここまでは来ないのかもしれない。町並みの風景にしっくりと来る大衆食堂で中華そばをいただいた。懐かしい味だ。

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 この風景の中にもっと滞在していたいがフェリーの時刻が迫ってくる。とびしま海道の最先端の岡村島から大三島に向かう船もあるが、時間的に合わず、大崎下島を経由して大三島に渡ることとした。フェリーを2回乗り継いで大三島に上陸したのは14時半。予定では17時前に着く計画なのだが、道路にある表示によると、尾道までの距離は予想以上だった。これでは18時を超えるかもしれない。日没前には向島のフェリー乗り場に着きたい。いよいよ暗くなったら、ライトを点ければいいが。あれ?ライトが点かない。しまった充電切れだ。どうする!絶対、日没までに着かないとヤバイ!。新しいライトを購入する時に、電池式にするか充電式にするか迷ったんだった。やはり電池式にすべきだった。風景をあまり楽しむ余裕がなく、2016年に行ったしまなみ海道の残り部分の橋を全速力で恐々渡っていく。

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 だんだんと夕闇が迫ってくる。焦る。因島大橋を渡った時に日没になった。なんとか間に合いそうだ。向島のフェリー乗り場に到着。フェリーから見た尾道の街明かりが、これまた、なんとも懐かしい、映画のワンシーンのようだ。

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2019年10月13日球磨川、矢岳

 自転車旅を計画する時に、ここの町並みを見たいとか、ここの観光名所に行きたい、という目的もあるが、この道を自転車で走ってみたい、というのもある。前から気になっていたのが、熊本県八代から人吉までの球磨川沿いだ。グーグルマップを見ると、川を挟んで国道沿いに、ずっと県道が続いている。多分、こちららの方が、以前の国道だったり、あるいは、街道だったのではないかと思う。肥薩線と並行している区間が長いのもいい。

 

 10月13日、八代の街を抜けて、球磨川沿いの国道を進んだ。道の駅で、あん餅でお腹を満たしついでに、この先のルートをきく。「自転車乗りの人は、この先から県道にはいるようですよ」と教えてくれた。ここからがお楽しみのコーズなんだ。ついでに、日本で初め撤去された荒瀬ダムのことを色々と教えてもらった。ダムが撤去された後の川の色は澄んでいるように見える。地元の人と話すのは楽しい。

 

 しばらくすると、車の音や人工的な音がまったく聞こえなくなった。川と鉄道の間の静かな道を行く。ああー、気持ちいい。道、空、川、鉄道、古い駅舎。こんな道を独り占めして人吉まで行けるんだ。

 

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 人吉に着いた。昼食にはお目当の鰻丼。次の目的地は、旅番組で見た、大畑駅矢岳駅。県道から外れて細い道を登っていく。どこまでもどこまでも続く細い道。本当にこの先に駅があるのだろうか。民家はまったくないのに。たどり着いた大畑駅は、駅舎に名刺がいっぱい貼ってある。何なんだ、ここは。横には小洒落たレストラン。そこからますます暗くて、林の中の細い道を長く長く進む。視界が開け、やっとの思いで矢岳駅に着いた。こんな山奥に開けた土地があり、小学校もあり、そして立派な駅舎があった。びっくりした。そして、腹一杯になった鰻丼のカロリーは完全に消費していたが、今日の旅は、あとは下りだけだと思うと、ほっとした。

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 駅舎には、先客の自転車乗りの方が自転車をたたんでいた。「どうしたんですか?」「このまま峠を自転車で越えると、吉松駅から戻ってこれないのです。肥薩線は本数が少なくてね」「え?そうなんですか。ここから、まだ登りがあるんですね」グーグルマップをよく見ると、ここから、宮崎県のえびの側に下るためには、あと170メートル登らないといけなかった。ガーン。どうしよう。輪行にするか、170メートル登るか。とか考えているうちに特急電車が来てしまった。行くしかなかった。まったく人気のない林道を登りつめて、霧島連山の絶景を横目で見ながら、一気に、京町温泉まで下った。今回の旅は終わり。着いてみると、楽しい旅でした。

2019年9月22日藻散布沼、霧多布湿原

 2019年9月21日朝7時、釧路駅前のホテルを出発。国道44号を東へと行く。天気予報は晴れのはずが曇り。車が多い国道を2時間半行くと、厚岸町を臨む高台に出た。牡蠣で有名な町だ。漁協が経営するお店で、牡蠣を頬張る。口いっぱいに広がる潮の香り。

 

 厚岸大橋をわたって、道道123号に入る。今日のメインの目的地は、藻散布沼だ。ずっと行ってみたいと思っていた。観光地として有名ではないけれど、ジブリ作品「思い出のマーニー」のモデルとなったところということで、知る人ぞ知る場所である。原作は、有名な英国の児童文学で、ノーフォーク州がモデルと言われている。原作も映画も好きな私は、英国には行けないけれど、この藻散布沼は行ってみたかった。

 

 道道123号は車も少ないし人気もない。曇り空ということもあって、最果てに来た感じがする。そのうちに、海岸線の断崖の上に出た。風に吹かれて気持ちがいい。アップダウンを繰り返しながら、とうとう藻散布沼に着いた。手漕ぎボートが浮かび、漁師さんが船を操っている。寂しげだけど、夢のような場だ。原作のイメージどおりだ。来てよかった。

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 ここから先は、おまけのつもりで霧多布湿原に向かう。どんなところか全然調べていないが琵琶瀬からの展望がいいらしい。お昼ごはんの時間が過ぎ空腹を抱えながら先に進む。やっと日差しも差してきたと思ったら視界が開けてきた。すると、そこに霧多布湿原。息を呑んだ。絶景だった。こんな風景は初めてだ。

 

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 琵琶瀬から町の中に向かう。なんとも言えない、潮の香りががする。風と空気を感じることができるのは、自転車旅ならではだ。あ、昆布を干している、そうか、厚岸で食べた牡蠣の香りだ。浜中町の高台にある温泉で夕日を眺めた後、民宿に到着した。晩御飯は、私を含めた3人の旅人と民宿を経営する家族3人の合計6人で食べる。親戚の家に泊まったような居心地の良さだ。こうして、私の北海道自転車旅の初日は終わった。

 

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ブログ「自転車ひとり旅」を再開

 2017年にロードバイク を乗り始めて、3年目。 途中で、書くのをやめてしまった。それは、足の脛を痛めて、自転車旅を中断してしまったという事情からだ。やはり、無理はよくなかった。半年間の中断を挟んで、また、旅は再開したが、ブログは中断したままになった。

 

 当時のブログを読み返すと、初々しくて、恥ずかしい。それでも、初心を忘れず、今も、自転車旅を続けてきた。もっぱら、ひとり旅だ。

 

 この2年半の間に、様々な出会いがあった。その記録を、やはり、残そうと思い立った。それは、自己満足だけでなく、自転車旅を楽しんでいる人々(サイクルツーリスト)との繋がりになるといいかなという思い、また、今から、自転車旅を始めようとする人へのメッセージにもなるといいかなという思い、そんな思いもあって再開することとした。

 

 では、ぼちぼちと書いていきます。下の写真は、9月に行った、霧多布湿原です。

 

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閑話休題

自転車旅を始めて、まだ、2ヶ月。この間に気づいたこと

★体重の減少がすごい。
 別にダイエットをもっと励もうと思っているわけでもなく、食べる量も減らしていない。いや、どちらかというと増えている。昨日なんか、とんかつ定食の大を注文した。なのに、体重は減っていく。今夜とか、夕食食べたあとなのに、全然増えていない。足とかに筋肉がついて、基礎代謝量が上がったからなのだろうか。どこまで減っていくか楽しみだけれども、いつも空腹を抱えているのも、なかなか辛いものだ。

★日本列島は時計回り。
 もっぱら海岸沿いを走ることをメインにしてきたが、やはり、左側に海が見える方がいい。右側が海だと、車が走る車線越しなので、景色を堪能できないし、ここぞというところでの写真もいいのが取れない。そう考えると、島巡り、日本列島も大きな島と考えると、時計回りに走るのが原則なんだ。だから日本海側は西から東へ、あるいは、南から北へ。太平洋側は北から南へ、東から西になる。九州は鹿児島本線沿いに上り、日豊本線沿いに下ることになる。ところが、湖は反対だ。反時計回りが原則になる。いずれ、琵琶湖や浜名湖を一周する時は憶えておこう。

★交通ルールを守るのはかっこいい。
 いろいろとネットや本で、ロードバイクの乗り方を調べていくと、基本的には交通ルールを守らなければならない。意識してそうしてきたし、だんだん、そうなっていった。ちょっとした赤信号でも、きちんと止まる。歩道は緊急時のみで、ゆっくり漕ぐ。歩行者を抜く時は声をかける。ヘルメットや手信号もしなければならない。で、こんなことをきっちりすることは、歩行者や自動車運転手からは、気持ち良く見てもらっているんじゃないかな、と自分でも思う。これって、やっぱりかっこいいことだと思う。