自転車ひとり旅〜風に誘われ、趣くままに〜

自転車旅で出逢う風景や人々の記録です。同好の士とのつながりや交流のきっかけになるといいかなと思っています。

2019年10月13日球磨川、矢岳

 自転車旅を計画する時に、ここの町並みを見たいとか、ここの観光名所に行きたい、という目的もあるが、この道を自転車で走ってみたい、というのもある。前から気になっていたのが、熊本県八代から人吉までの球磨川沿いだ。グーグルマップを見ると、川を挟んで国道沿いに、ずっと県道が続いている。多分、こちららの方が、以前の国道だったり、あるいは、街道だったのではないかと思う。肥薩線と並行している区間が長いのもいい。

 

 10月13日、八代の街を抜けて、球磨川沿いの国道を進んだ。道の駅で、あん餅でお腹を満たしついでに、この先のルートをきく。「自転車乗りの人は、この先から県道にはいるようですよ」と教えてくれた。ここからがお楽しみのコーズなんだ。ついでに、日本で初め撤去された荒瀬ダムのことを色々と教えてもらった。ダムが撤去された後の川の色は澄んでいるように見える。地元の人と話すのは楽しい。

 

 しばらくすると、車の音や人工的な音がまったく聞こえなくなった。川と鉄道の間の静かな道を行く。ああー、気持ちいい。道、空、川、鉄道、古い駅舎。こんな道を独り占めして人吉まで行けるんだ。

 

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 人吉に着いた。昼食にはお目当の鰻丼。次の目的地は、旅番組で見た、大畑駅矢岳駅。県道から外れて細い道を登っていく。どこまでもどこまでも続く細い道。本当にこの先に駅があるのだろうか。民家はまったくないのに。たどり着いた大畑駅は、駅舎に名刺がいっぱい貼ってある。何なんだ、ここは。横には小洒落たレストラン。そこからますます暗くて、林の中の細い道を長く長く進む。視界が開け、やっとの思いで矢岳駅に着いた。こんな山奥に開けた土地があり、小学校もあり、そして立派な駅舎があった。びっくりした。そして、腹一杯になった鰻丼のカロリーは完全に消費していたが、今日の旅は、あとは下りだけだと思うと、ほっとした。

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 駅舎には、先客の自転車乗りの方が自転車をたたんでいた。「どうしたんですか?」「このまま峠を自転車で越えると、吉松駅から戻ってこれないのです。肥薩線は本数が少なくてね」「え?そうなんですか。ここから、まだ登りがあるんですね」グーグルマップをよく見ると、ここから、宮崎県のえびの側に下るためには、あと170メートル登らないといけなかった。ガーン。どうしよう。輪行にするか、170メートル登るか。とか考えているうちに特急電車が来てしまった。行くしかなかった。まったく人気のない林道を登りつめて、霧島連山の絶景を横目で見ながら、一気に、京町温泉まで下った。今回の旅は終わり。着いてみると、楽しい旅でした。