三浦半島へ(最終回)
三崎の町は静かだった。土曜日といっても、この天気だから旅行する人は少ないのだろう。宵闇の町並みを歩くと、すぐにマグロ料理の某有名店が見つかった。
確かに、マグロは美味しかった。ただ、あまりにも人が多すぎた。求めていたような「港町の食堂」とはほど遠かった。これからは、有名店はやめよう。
宿に戻って、併設のバーで飲みなおす。マスターと、あとから来た同宿の客と3人で四方山話。ゲストハウスの話題になり、あそこがいいとか、ここがいいとか。自転車旅はゲストハウスなんだな。
10時に寝床に入る。夜中に聞こえる雨音が、旅情をそそる。翌朝は、小雨。品川13時を目標にすると、小田原よりも逗子あたりが無難。昨日の疲れもある。朝食をすませて8時半にスタート。
宿からすぐに登りになったが、登り詰めたところからは、ずっと下り坂。快調に飛ばしていくと、あっという間に葉山。御用邸の脇を通り過ぎて逗子。まだ、時間は十分だ。このまま湘南海岸へ行ってしまおう。終点は茅ヶ崎にするか。
由比ヶ浜、サーファーがたくさん出ている。強風の日曜日は、自転車乗りには最悪の日が、サーファーには最高の日なんだろう。そうこうするうちに江ノ島が見えてきた。
この曇天・強風では、この景色はもったいない。今回の旅はここで終えよう。江ノ電の電停で記念写真を撮って、藤沢駅に向かう。次回は、江ノ島がスタートライン。
三浦半島へ(その3)
雨は降ったりやんだりではなく、強く降ったり弱く降ったり。
横浜市内に入るとますますひどくなる。けれども、そんなに苦にならないのはなぜなんだろう。そうこうしているうちに、赤レンガ倉庫、そして、山下公園!ひと休みだ。コーヒーをゆっくり飲もう。雨の中よくここまで来たもんだ。半分くらいかな。いや、3分の1か。
よし、元気回復、次は横須賀に向けて出発。まだ午前10時前。早く、三崎に着いたらどうしようか。
雨は少し弱まってきた。京急電車に沿って、日本史で習った金沢文庫(ここでだいぶ時間をとった)、そして、横須賀港にもちょっと寄り道。横須賀駅に着いたのは13時。だいぶ寄り道しすぎた。
横須賀といえば、カレー。スマホで調べた人気店横須賀海軍カレーへ。行列に並んで30分、お店に入って10分。来たキタ〜、横須賀カレー。
期待していただけに。…。
さあ、雨がやんでいるうちに行こう。雨雲レーダー見たら、このあと雨はない。快調!海岸線を走っていくと、あっと言う間に観音崎灯台。登れる灯台10数カ所のうちのひとつ。灯台からの眺めは雄大だった。そして、高くて、風が強くて、怖かった。
次の観光名所は浦賀。浦賀、何があるんだろう。ペリーが来たところ、くらいしか知らない。行ってみると、浦賀の渡し。250円払って乗ってみる。でも、船がない。ボタンを押したら、対岸から来るのか。へえー。えっ、自転車、こんなところに乗せて大丈夫か。
浦賀の先、久里浜からの海岸は、天気予報通りの強風。なんとかしのいで、温泉にも浸かって、三崎の宿に着いたのはジャスト18時。無事着いてよかった。来てよかった。なんとかなるもんだ。さあ、夜はマグロづくしだ!!!
三浦半島へ(その2)
朝、目覚めると、そこには雲ひとつない青空が!
というのは映画とかドラマの世界のこと。しとしとと雨が降っている。tenki.jpの1時間予報を見ても、午前中は雨。しかも、三浦市は風速8メートルの南風。雨雲ズームレーダー、青や黄緑がかかっている。どうしよう。予約している民宿は当日キャンセル100%だ。7500円を流して、都内で1日ぼんやり過ごすのか。宿泊費が別にかかる。7500円を惜しんで、この雨風の中を、しかも強風の中を三浦半島の突端まで行くって、どんだけモノ好きなんだ。まだ、自転車旅始めたばっかしだし。
しばし、熟考。
スタートします。雨の中の自転車旅もあるだろう。いいことばかりが人生ではない。雨も吹けば風も吹く。自転車屋さんは言っていた。アルミ製だから錆びないですよって。よっしゃ行こう。
小雨の中、登山用レインウエアを着てスタート。ホテルの女主人は大丈夫ですか?みたいな顔で見送ってくれた。川崎駅を過ぎたあたりから、かなりの雨。寒くないのが幸い。ちょっと、トンネルの駅で雨宿り。鶴見線国道駅。ここがあの、知る人ぞ知る、昭和時代風の駅か。映画の舞台にもなったらしい。
よし、今日は、ぶらぶらと観光しながら行こう。最短で57kmなんだから。たいしたことはない。
三浦半島へ(その1)
2017年4月7日22時、品川駅に着いた。
京急に乗り換えて雑色駅で降り、歩いて5分のカナーンホテルへ。品の良さそうな女主人さんという風情のフロントでチェックイン。
明日から1泊2日の三浦半島一周だ。9日の午後には品川駅近辺での会議に間に合うように戻って来る。8日は三崎の民宿に泊まり、9日は小田原から品川へ、といった予定を立てた。
最大の心配事は雨だ。まだ、雨の中を走ったことがない。走れるかどうか、よりも走りたくない。何を好きこのんで雨の中を走るのだろう。スタートラインの監督も、雨の中を走っていた。そこまでしなくてもいいんじゃない。
新幹線の中で、1時間毎の天気予報をずっと確認してきたが、なんとか、曇りでいけそうだ。せいぜい小雨か。運を天に任せて寝るしかないな。
寝よう。
最初の一歩ー角島(山口県)
2017年3月18日、下関駅前のビジネスホテルを7時半に出発。向かう先は、山口県の角島。
なぜ、角島?いや、角島からスタート。なんといっても、あのコバルトブルーの海の上の橋がいいんだな。ロードバイクに乗り始めはなんとも不安定だ。でも、だんだんと慣れてきた。下関市街地を抜けた頃から快調。この調子でいくと、10時半には着くかも。
適度なアップダウンを経て、着いた!角島。曇っているけれども、海はコバルトブルー。記念写真を撮って、橋を渡る。おおー、怖っ。そうだ、ボクは高所恐怖症だったんだ。比較的幅の狭い道で、海がよく見える。引き返したいけれども、無理だ、行くしかない。
無事、往復できた角島大橋。最初の一歩は、怖かったけれども、快適だった。
自転車旅、映画、ときどきカレー
ある日、映画を見た。スタートライン。
先入観なしに見たこの映画に、私はやられてしまった。そうだ、今からでも遅くない。日本縦断、いや、日本一周自転車旅をしよう。思い立ったが吉日。行きつけの自転車屋さんで、ロードバイクを注文予約。そして、とうとう、3月自転車旅を始めた。
このブログは、今から始まる、私の自転車旅の記録です。映画の話題も時々掲載しつつ、旅先で食したカレーやその他の美味しいものも。
スタートラインに立ち、一歩、進みます。