自転車ひとり旅〜風に誘われ、趣くままに〜

自転車旅で出逢う風景や人々の記録です。同好の士とのつながりや交流のきっかけになるといいかなと思っています。

2019年11月16日、滋賀県、中山道を行く

  11月17日に愛知県に用事ができた。せっかくなので、1泊2日の自転車旅を用事に組み込もう。福岡県と愛知県の間のどこを行くか。そうだ、中山道を起点から出発しよう。中山道踏破に向けて、群馬県安中宿から長野県長久保宿まで行ったのは1年半前だ。それ以来、そのままになっていたので、今度は草津宿から攻めて行こう。せっかくなので、街道から離れるけれど、近江八幡市の町並みや彦根城も見て、「日本ボロ宿紀行」で紹介された長浜の旅館に泊まる、という計画にした。

 久留米発の一番列車に乗り込み、草津駅に着いたのは9時50分。今回も遅めのスタート。グーグルマップで旧中山道をバッチリ調べてきたので、あまり迷わない。車は多いけれども、古い家並みが続く。スピードは出ないけれども、街道沿いを行くのはタイムスリップした感じで楽しい。

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 守山宿から、一旦、中山道をはずれて近江八幡市に向かう。街道でない県道は、ありふれた風景でだんだん飽いてくる。我慢して進むと、やがて近江八幡市の中心街、古い街並みに着いた。おおー、なかなかの風情だと思いながら、観光客の多いあたりを目指すと、「八幡堀」という観光名所に着いた。まるで映画のセットだ。後から調べると、多くの映画のロケ地になっている。人混みの多いところを避けて、西の湖に向かう。いかにも藤沢周平原作の映画で、脱藩した武士が流浪の旅に出る時の風景である。

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  西の湖を離れて街道に戻る。このあたりから、なぜか腹痛。昼食時に少しゆっくりするが、痛みはおさまらない。この調子では、彦根城観光は無理だ。諦めて、早く宿に着いて休もう。いや、その前に、峠越えがある。腹痛を抱えながら、峠越え可能だろうか?ますます腹痛が広がっていく。どうする?リタイア?胃潰瘍?ウイルス性胃腸炎?色々考えながら、街道を離れて国道沿いのコンビニのトイレに。ああー、治った。単純な問題だった。よし、これなら、峠を越えられる。中山道の高宮宿、鳥居本宿を経て、いよいよ摺針峠。急な登りで息が上がる。昔の人は、この峠を越えて行ったんだなと思いながら、峠の向こうの山また山の風景を眺める。

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 ここまで、だいぶ時間を費やしてしまった。夕暮れの時間が迫ってくる。彦根城を諦めた代わりに、紅葉の名所をネットで検索すると、三島池というのが出てきた。ちょうど、長浜への途中にある。ここを目指そう。できれば、夕日に照らされた紅葉を見たい。番場宿、東海道本線醒井駅を経て、国道を左折する。どんどん飛ばして、やっと三島池に着いた。夕日に映える鮮やかな紅葉、伊吹山を映した池。

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 写真を撮っていたらあっという間に日が暮れた。まだ、4時台なのに、この辺りは日没が早いのだ。次を急ごう。三島池からから真西に向かうとトンネル。抜けた途端に夕日が眩しい。これは琵琶湖の日没は絶景だろう、全速力で西へ西へと向かう。間に合うかどうか。湖岸にやっと着いた時は日没直後だった。が、琵琶湖の黄昏は美しかった。 

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 夜は、お楽しみの、三谷旅館。長浜の伝統的建築物地区の中にある、築100年の旅館。この値段で、趣のある宿に泊まれるのはとても幸せである。夕ご飯には、ご主人と奥さんが代わり番こで、話し相手になってくださる。長浜のこと、曳山の由来、子ども歌舞伎、中山道の穴場、琵琶湖の鮎など、教えていただいた。あまり調べずに来たけれども、長浜ってとても歴史的な町だったんだ。琵琶湖に鮎がいるとは知らなかったが、10センチ以上大きくならないとは。色々と面白い話がいっぱいだ。いい人たちだなぁ。こうして、琵琶湖北岸の夜が更けていく。

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