自転車ひとり旅〜風に誘われ、趣くままに〜

自転車旅で出逢う風景や人々の記録です。同好の士とのつながりや交流のきっかけになるといいかなと思っています。

2019年10月5日、とびしま海道、尾道

 今回の目的地はとびしま海道、そして、3年前に残してしまったしまなみ海道の後半部分。前日泊ができなかったので、久留米駅を早朝に出て、呉線の広駅から出発したのは午前10時。今日は大阪泊なので、夕方に尾道に着けば、それでいい。遅い出発でも余裕だ。

 広駅からしばらく車の多い道を行き、安芸灘大橋を渡って下蒲刈島に渡る。海をまたぐ橋はやはり怖い。ここは歩道をゆっくりと行くしかない。以前、しまなみ街道の話を自転車旅で出会った人と話した時に、とびしま海道も静かでいいですよと、教えていただいた。確かに、ここから先の、上蒲刈島、豊島、大崎下島と車も人も少なく、快適な道行きだった。自転車もほとんど会わない。天気は快晴で、海も空も青い。瀬戸内海の穏やか海原を眺めながらゆっくりと行く。

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 今回もあまり下調べをせずに来たのだが、御手洗という地名だけは記憶に残っていて
寄ってみることにした。迂闊だった。一歩、入り込んで見た風景は、映画のセットのようだ。今まで人気の少ない島々の奥の方に、こんな昭和の町並みが残っているなんて、思いもよらなかった。海運で江戸時代から栄えた町が、その後の陸路の発展で取り残されたからこそ、この町並みが残ったのであれば、皮肉なことである。しかし、観光客は少ない。瀬戸内海の古い町並み、倉敷、尾道鞆の浦、竹原といったコースから外れているので、ここまでは来ないのかもしれない。町並みの風景にしっくりと来る大衆食堂で中華そばをいただいた。懐かしい味だ。

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 この風景の中にもっと滞在していたいがフェリーの時刻が迫ってくる。とびしま海道の最先端の岡村島から大三島に向かう船もあるが、時間的に合わず、大崎下島を経由して大三島に渡ることとした。フェリーを2回乗り継いで大三島に上陸したのは14時半。予定では17時前に着く計画なのだが、道路にある表示によると、尾道までの距離は予想以上だった。これでは18時を超えるかもしれない。日没前には向島のフェリー乗り場に着きたい。いよいよ暗くなったら、ライトを点ければいいが。あれ?ライトが点かない。しまった充電切れだ。どうする!絶対、日没までに着かないとヤバイ!。新しいライトを購入する時に、電池式にするか充電式にするか迷ったんだった。やはり電池式にすべきだった。風景をあまり楽しむ余裕がなく、2016年に行ったしまなみ海道の残り部分の橋を全速力で恐々渡っていく。

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 だんだんと夕闇が迫ってくる。焦る。因島大橋を渡った時に日没になった。なんとか間に合いそうだ。向島のフェリー乗り場に到着。フェリーから見た尾道の街明かりが、これまた、なんとも懐かしい、映画のワンシーンのようだ。

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